2021.8.24(火)
本日、学びの丘キャンプ場は、無事にトライアル・サウンディングの営業を終了いたしました。
ご利用いただいた皆様、ご声援いただいた皆様、ありがとうございました。
新型コロナ感染症流行下、さらに、お盆期間の長雨など、大変な状況もありましたが、旧金谷中学校跡地でキャンプ場をやってみたことで、たくさんの課題を発見することができました。
「子どもたちにもっと体験活動を提供したい」と思って教員を退職した私にとって、キャンプは子どもたちにぜひとも体験させたい活動でした。そこで、今回の旧金谷中学校跡地トライアル・サウンディングへの挑戦となったのです。
57,000平方メートルという、東京ドーム1個分ほどの広大な土地に、仮設トイレだけを設置して仮設のキャンプ場とした訳ですが、さまざまなことがわかりました。
① 川や森がない
広大な土地ですが、川や森はありません。子どもたちの遊び場や自然とのふれあいがないので、キャンプ場としての魅力に乏しいのです。もちろん、川や森がないことは、実施する前からわかっていたことですが、今回、実施してみて、キャンプ場選定の重要な要素であることが改めてよくわかりました。また、樹木がないので木陰ができず、暑さや日差しを避けるためのタープは必須だということがよくわかりました。
② 景色がよくない。
旧金中跡地の北側は崖になっていますが、高木が生えていて眺望を奪っています。この高木がなければ富士山が見えたり、島田市の夜景が見えたりするのですが、トライアル・サウンディングの段階では伐採できませんでした。
③ 風が強い
牧之原台地の上に位置し、周辺は低木の茶畑ですので、風が吹き抜けます。今回は仮設トイレが転倒して設置業者様に起こしていただきました。私のテントも、ガイロープをしっかりと張っておかなかったということもありますが、ドームテントのカーボンのポールが破損してしまいました。
④ 水はけが悪い
敷地南側の旧運動場の箇所は、ブルトーザーによる土を押す方法での除草により、傾斜ができてしまっており、多量の雨で池状になり、水はけが悪かったです。今回はキャンプサイトとして利用することを諦め、北側だけをキャンプサイトとして利用しました。排水溝を掘ろうかとも考えたのですが、コンクリートで囲まれている面があって、そのままでは掘ることができませんでした。
また、地面は土で、雨が降ると大変ぬかるみました。靴やタイヤに泥がまとわりつく状態で大変でした。水はけを良くし、芝のような状態にしないと、快適なキャンプ場になりません。
⑤ 北側は石が多い
敷地の北側は、旧金中跡地ではなく、かつて「メッセ等のコンベンション施設計画」の際に買い足した土地なのだそうです。運動場跡地と違って、人の頭部大の石がたくさんありました。快適なキャンプ場にするためには、これらを取り除かなければなりませんが、今回はそこまでする余裕がありませんでした。また、ガラスや陶器の欠片も落ちていて、さらなる除去が必要です。
⑥ 水場と浄化槽を設置するのにはお金が掛かる
水道管は敷地の中に引き込まれています。メーターを設置して蛇口を取り付ければ水は出ます。しかし、それよりも大きな課題は浄化槽がないことだと思いました。水が出せても、それを垂れ流しては、周辺環境に悪影響を及ぼします。浄化槽設置には1,000万円くらい掛かるのではないかという見込みですが、1か月のトライアルにそれだけの費用をかけることはできませんでした。もしも、ここで事業としてキャンプ場を開設するとしても、この費用をどうするのかということは、大きな課題であると思いました。
そこで考えたのが、「村づくりプロジェクト」です。
この、旧金谷中学校跡地を「キャンプ場」としてオープンするのではなく、「村建設予定地」としてオープンするというものです。
「キャンプ場」ならば、トイレがあり、水場があり、草もきれいに刈られている必要がありますが、「村づくり」なら、それらは村づくりのための解決すべき課題です。
「トイレがない」→どうしよう?
・穴を掘ってぼっとんトイレを作り、汲み取りをしてもらう。
・コンポストトイレを導入し、微生物等の力によって分解してもらい、肥料として利用する。
・資金を集めて、浄化槽を設置して、水洗トイレを設置する。
「水場がない」→どうしよう?
・雨水をためて、それをろ過したり、煮沸したりして使う。
・井戸を掘ったら水が出ないか調べてみる。
・上水道を敷設して、水場を作る。
「排水設備がない」→どうしよう?
・油は紙や木屑に染み込ませて、燃料として使う。油以外は地面に砂利や炭などを利用した浄化装置を通した後に、地面に沁み込ませる。
・資金を用意して、浄化槽を埋設して、浄化した後の水を側溝に流す。
「草が生えてしまう」→どうしよう?
・草を刈って、堆肥化して、農園の肥料として使う。
・ヤギを飼育して、彼らのエサとして食べてもらう。
・草刈りを行った者には、村で使える通貨を進呈する。
・刈り払い機と燃料を購入し、草を刈り倒す。
このように「村づくりプロジェクト」なら、何もないところから開始することができるので、資金が少なくても取り組むことができるかもしれません。
この他にも「村の予算がない」→どうしよう?
・イベントを開いて集客し、参加費を徴収する。
・サツマイモを栽培して焼いも大会を開き、焼いもを購入してもらう。
「みんなが集まれる場所を作りたい」→どうしよう?
・廃材を無料で提供してくれる人を探そう。
・廃材を運ぶためのトラックを出してくれる人を探そう。
・ボランティアで集会所づくりに参加してくれる人を募ろう。
など、低予算で、参加者を募って、みんなで村づくりを進めていけたら面白いのではないかと思いました。村をつくっていくなかで様々な体験ができ、SDGsを意識した環境に優しい、資源循環型の生活が構築できたら楽しいなと思うのです。
しかし、これではこの場所で収益を上げるのは何年も先の話になりそうです。ですから、この「村づくり」の主催者は、それ以外で収入がある人でないとできません。その辺りも、悩ましい問題です。
この学びの丘キャンプ場を運営しながら、旧金谷中学校跡地をどう利用できるかを考えてみました。
松浦